日記とは、こうありたいものです
2008年8月15日 ブログ320日目。

昨日のフリーズはいったいなんだったのでしょう。
ディスク・クリーンアップをしたら、少し良くなったようです。めでたし、めでたし。

さて、昨日読んだ『富士日記〈上〉』。中公文庫か上・中・下の3巻シリーズで出ています。昨日読んだのは上巻で、中・下巻はまだ揃えておりません。ああ、早く続きが読みたいです。

富士日記〈上〉 (中公文庫)富士日記〈上〉 (中公文庫)
(1997/04)
武田 百合子

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この本を読もうと思ったキッカケは、須賀敦子さんの書評集の中で紹介されていたからです。須賀さんが「おもしろい」と云うだけある!

『富士日記』の著者、実は3人いるのです。武田百合子さんのお名前で出版されていますが、ご主人の武田泰淳氏、娘さんの花子さんによる日記も収められています。東京に住む武田一家が、冨士山麓に別荘を構えます。『冨士日記』は、その別荘生活での記録です。上巻は昭和39年7月〜昭和41年9月まで。

昭和39年=1964年って、およそ50年も前のお話なんですね。ビートルズが初来日した年ですよ。東京オリンピックの年ですよ!8月の韓国は、戦争関連の放送番組が増えます。今年は開国60周年で、終戦後の開拓の様子なども放送され、中には『富士日記』と同じ頃の映像が流れているのです。それを見てると、昭和39年は、私には遠い遠い昔のように感じられました。

ところが、文体は全く古さを感じさせません。おそらく百合子さんの文章が、ウィットに富んだ躍動感のに溢れているからだと思います。ただの山小屋の日記というには、豊かすぎる文章です。毎日の記録にその日の支出が記されており、「勝山村で、ビール二ダース二千七百六十円、卵十個百二十円、サクラエビ百五十円、水蜜桃六個百五十円、食パン五十円、チョコレート百円。」のような文章が出てきます。そこに記されている金額を見て、時々昭和を感じるくらいです。両親に聞いた子供の頃の話が時折頭をかすめます。ところでこの物価、物によっては今の韓国と変わらないんですが・・・。

では、書き出しをご紹介しましょう。

昭和三十九年 七月四日(土)
★ぼくだけが夏一ぱい帰らずにとじこもるつもりで、5日(日)に百合子と花は帰京する。ひとりだけで(たとえ二週間でも十日でも)山小屋ぐらしできるか否か、こころもとない。4日は朝から曇っていたが、猿橋の手前から降りはじめ、河口湖駅をすぎてから、ことにすさまじい雨となる。例によって大月駅で、おべんとうを買う。不機嫌だったハナも、おべんとうが気に入り元気よくなる。実は赤坂を出発のさい、自動車の鍵をあずかったハナが、ポコ〔犬〕をトランクに入れてから、しめ忘れて、百合子に叱られたのだ。百合子が山小屋のカギを忘れてアパートにひきかえしたので、トランクがあいていたのを発見した。


★印は、ご主人の武田泰淳氏が書いたことを表しています。

『冨士日記』は、武田泰淳氏の没後に出版されました。あまりにストレートに一家の日々が記されていて、まるで冨士山麓の武田山荘の裏の森から、こっそり3人を見ているような気分になりました。

上巻で、すでに武田氏の頭痛の話が出てきます。なんとも切ない気分です。花さんにとっては、きっと両親の愛と思い出がぎっしり詰まった宝箱なんでしょうね。

早く続き、買わなくちゃ。
[2008/08/15 09:54] |  エッセイ・随筆 | トラックバック(0) | コメント(0)
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