確実に札幌より寒いです。体感気温が実温度より低いのも辛いところ。
雪が恋しい季節です。あ、そろそろ雪祭りのシーズンですね。
「ああ、やっぱり!」と思いました。
![]() | 春になったら苺を摘みに (新潮文庫) (2006/02) 梨木 香歩 商品詳細を見る |
最近立て続けに読んでいる梨木香歩さんの本。こちらはエッセイです。
梨木さんについて紹介されている書籍が少ない中、この本からいくつかの情報を得ることができました。
まず、書き出しをご紹介しましょう。
英国に半年間滞在するための家を探していたが、現地で二十日間ほどあれこれ迷ったあげく結局サリー州に住むことに落ち着いた。サリー州はロンドンの南、サウス・ダウンズと呼ばれる穏やかな丘陵地帯に位置する。南海岸の保養地、ブライトンへ続く幹線がほぼ中央を通っているので、今まで見知っていた北部イングランドの空気とは違う、どこか明るく開放的な南の空気が街道の彼方から漂ってくるようだった。自然の質も、また少し違った。他の州に比べてナショナルトラストの所有地が多いせいもあるのだろうか、家の庭に訪れる赤ギツネや小鳥の種類も多様だった。
まず、著者紹介などの公式発表(?)で、梨木さんがイギリス留学の経験があることは知られていると思います。今の梨木さんのご活躍を見れば、きっと児童文学の本場で学んでいらしたんだろうなと考えるでしょう。ところがこのエッセイによりますと、どうやらシュタイナー教育の勉強をするため、渡英なさったそうなのです。実際に通われた学校はベル・インターナショナル・サフロン・ワーデン校で、そこでこのエッセイの登場人物であるウェスト夫人のもとに下宿します。(ウェスト夫人については、『ぐるりのこと』でも記されています。)
そのウェスト夫人ですが、生まれはアメリカで、結婚のためにイギリスへやってきました。渡英後、3人のお子さんを育てますが、ウェスト氏とは離婚。それでもウェスト夫人はイギリスに残りました。大雑把に言うと、このエッセイは「ウェスト夫人とそのまわりの人々とのイギリス滞在記」なのですが、一般の「イギリス紀行」とは種類が異なります。そして梨木さん含め、登場人物みんな、個性が際立ちすぎです。たくさんの出会いの中で、梨木さんの心に残った人たちがここに記されているのでしょう。梨木さんの愛情や思いが深く深く込められているのでしょう。人の弱さや強さが見え隠れする繊細な人々が次々登場します。
ところで、「ああ、やっぱり!」の理由です。
ウェスト夫人くだりを読んでいて、「あの人のお話に似ている。」と思いました。
あの人のお話、それはこちらです。
![]() | イギリスは愉快だ (文春文庫) (1996/02) 林 望 商品詳細を見る |
リンボウ先生がケンブリッジ留学時に滞在したのが、ルーシー・M・ボストン夫人のマナーハウス。女主人のボストン夫人は、児童文学「グリーン・ノウ」シリーズの作者としてあまりに有名です。
ウェスト夫人とボストン夫人の姿が重なりました。共に児童文学の作者であったこと、東洋人を受け入れる懐の深さ、自然を愛する姿、若い頃に心ならずも作ってしまったほろ苦い傷など、読めば読むほど通じ合うものを感じました。ウェスト夫人はクエーカー教徒だったそうで、その教えが彼女の人生の芯となっているような印象を受けますが、思えばボストン夫人もクエーカー系の学校に通っていたはず。私以外にも同じことを感じた方はたくさんいるのではないでしょうか。ボストン夫人は児童文学、マナーハウスのほか、パッチワーク作者としても有名です。
![]() | ボストン夫人のパッチワーク (2000/10) ダイアナ ボストンルーシー ボストン 商品詳細を見る |
ところで最も似ている部分、それは「イギリスに住む親切なおばあさん」なのではないでしょうか。梨木さんは実際にボストン夫人のもとを訪れています。ぜひこの点について、尋ねてみたいです。
この本を読んで
・ヨーロッパに関する書籍を良く読みます。ガイドブック、旅行記、歴史書、地理、文化本など、気に入った都市の本をよく読みます。この本は、文化や思想を知る意味でイギリス気分を感じられる本だと思いました。私がイギリス本を読むようになったキッカケは、上にご紹介したリンボウ先生のデビュー作『イギリスはおいしい』でした。私にとってラッキーだったのは、この本を読んだ直後にイギリス・アイルランド・フランスへ旅する機会に恵まれたことです。学生旅行でしたが、私の人生を変えるほどのインパクトがありました。もし今、だれかイギリスを旅する方がいらっしゃるのなら、「ぜひこの本を飛行機の中で読んで」と贈りたいです。
・前半はイギリスのお話ですが、後半は『赤毛のアン』の故郷カナダへ舞台が代わります。そこで人種差別や慰安婦についてのお話がありました。今、私が住んでいる国では、ご存知のように頻繁に反日運動が行われています。日本に居た頃は考えたこともありませんでしたが、こちらに来てから私なりに思うところが出来てきました。このエッセイのくだりを読み、相手の立場に立ってみるには、相手の心の傷が、その人の生き方にどんな変化を与えたかを想像することなんだと知りました。特に感情とお金の絡みが理解できなかった私には、大きな気付きでした。絡まった糸が解け始めたように思います。
・最後はNYのお話です。トロントからウェスト夫人とクリスマスを過ごすためにNYへ向かった梨木さん。私、
本土に行ったことないんです。梨木さん同様、「都会より自然」派の私ですが、やっぱり一度は行くべき?と思いなおした次第です。2009年のクリスマス、今年はNYで過ごしてみたいです。




みなさまの一言に支えられています。多謝。
I want you to be happy.
